イネ目-イネ科-キビ亜科-トウモロコシ連-ジュズダマ属 (1年草)
学名:Coix lacryma-jobi L.var. ma-yuen
英名:Coix seed(Job’s tears)
和名:ハトムギ(はと麦、鳩麦)
漢方名:薏苡仁(ヨクイニン)
ハトムギの花
ハトムギの実(種子)
「主婦の友生活シリーズ ハトムギ」(1983)から引用
ハトムギは中国南部やインドシナ半島等、南アジアを原産とするイネ科の一年草でジュズダマ属の植物です。植物分類では麦よりトウモロコシに近く栽培日数は160日前後かかります。種まきは4月~6月、9月~10月に収穫し果実をお茶や穀物として食用とします。
日本各地で自生しているジュズダマとは類縁であり、ヨクイニンの代用としてジュズダマが使われていた事もあったようです。ジュズダマとハトムギとの見分け方はハトムギは花が垂れ下っており、ジュズダマは上を向いています。また果実を覆う殻がハトムギは柔らかく、ジュズダマは非常に堅いこと、ジュズダマは多年草、ハトムギは1年草という違いがあります。
日本のハトムギは中国より韓国産の品種に近い事が最近のDNA研究で指摘されています。南アジアのハトムギは背丈が高く、日照時間などにも左右されますが2mを超す背丈になるものがあります。日本や朝鮮半島のハトムギはそれに比べ低く、1.5m程の背丈になることが多いことからも伺い知れます。
ハトムギは外から殻→薄皮→渋皮→子実となっており、渋皮を取り除いたものが漢方薬でいう薏苡仁(ヨクイニン)であり、主に炊いて摂取します。殻は固く食用には向かないため、脱穀前のハトムギは煎りハトムギ茶として飲用します。脱穀すると重さが半分以下となります。
平成22年の国内流通量は約6,500トンで国産ハトムギは約1,100トンで約17%を占めています。輸入先はタイが1位で4000トン(61.5%)、中国が800トン(12.3%)、ラオス、ベトナムがそれぞれ300トン以下とタイ産ハトムギが圧倒的に多く流通しています。
国産ハトムギの生産量は栃木が32%、富山が19%、岩手14%、島根13%、その他となっており4県だけで80%程を占めています。<※平成22年度調べ>
馬援(マーエン)
ハトムギの学名のma-yuen(マ-エン)というのは古代中国の漢の将軍である馬援(マーエン)からとられたものです。
その昔漢の将軍であった馬援(マーエン)が皇帝の命を受けベトナムに遠征した際には、既に55歳を超える年齢(2000年前の平均寿命を考えると大変高齢です)だったにも関わらず不慣れな土地で健康を損ねることなく、戦果を挙げ見事に凱旋を果たしました。
これはベトナムで栄養価に富むハトムギをよく食べ英気を養ったと所以であるとの故事からつけられたものです。